フィクションです

当たらない宝くじ

 

 

「宝くじが当たったらどうする?」

 

わたしとあなたの鉄板ネタ。

 

あなたはたしか「喫茶店を営みたい」とか言ってたね、最初は。

わたしは、「地元に家建ててサモエドと2人暮らし〜!」なんて言ってたかな。

 

そしてサマー、年末、その時期が来る度に「宝くじが当たったらどうする?」って話をしてたね。

 

バラ10枚、連番10枚。とりあえずで買ってみるけど、2人とも当選番号確認しないよね。まあ確認したところで200円しか当たってないんだけどさ。

 

「やっぱ、だよね〜」って言いながら、気づけば2人とも2人の未来を語るようになってて、「マンション買いたいね〜。旅行も行きたいな〜。とりあえず少しだけ仕事しつつ、のんびり暮らしたいね、2人で。」なんて言ってたね。

 

宝くじの当たる確率は0.00001%らしいんだけど、運命の人に出会う確率は0.0000034%だってさ。

 

あなたが運命の人かどうだったかはわからないけど、当たらないとわかってる宝くじの話を永遠としてる時間は幸せだったよ。

 

お金は大事だけど、お金で買えない幸せはもっと大事だったね。無くしたくなかったな。

 

ハズレでごめんね。