フィクションです

LADY BABY BLUE

 

ふたりはプリキュアを観て育ったわたしは、2人組の女の子を見ると不可抗力で胸がときめく。

好きだった2人組のアイドル、みんな解散してしまった。思春期特有の羨望をそこに捧げたわたしの青春。何もかも絶対に戻らない。戻らないことに縋っても意味はないことはわかっている。わかっているが、誰にも押しつけないから懐古厨でいることを許してほしい。

アイドルって10代の若いときにする子がほとんどで、特に2人組になるとビジネスよりも友情感が強い。だから1度すれ違いが起きてしまうと、それはもうほとんど修復不可。

 

中学生の頃、1番仲良くしていた子。毎日一緒にいて、きっとずっと仲良くいられるんだって信じてたけど、最後は喧嘩して泣きながら言い合いをして、そのまま卒業まで口を聞くことはなかった。

今さら仲直りしたいとかは思わないけど、ふとあのとき喧嘩しなかったら今も仲良くいれたのかな?とか、そういうことは少しだけ思う。

あのときほどの強い繋がりを持てる友達はもう絶対にできない。だから大事にしておけばよかった。

 

解散してしまったアイドルも、きっと友情の延長線上に芸能活動があって、わたしたちはそれを見させてもらっていただけに過ぎない。10代特有の強さと脆さ。唯一無二の友情。誰にも干渉できない絶対領域

 

お互いがお互い、今いる場所で幸せでいてくれたらそれでいいよ。

ただ今も少しだけ胸の中にあるしこりは、どうにもできないから過去の動画を観て泣いている。

 

 

過呼吸とテスト

 

ふと泣きながらテストを受けたことを思い出した。

 

中学2年生のときに、わたしはめちゃくちゃマセガキだったので恋愛をしていた。♡両思い♡みたいな感じじゃなくて、しっかりグロテスクな恋愛をしていた。

 

どの季節かは忘れたけど、後にも先にもこの人しかいないと思った当時の彼氏が、保育園から仲良くしてたわたしの親友と浮気してて、それがまあすごい裏切られ方で、14歳で未熟だったわたしには流石にダメージがデカすぎた。

 

ショックで泣いて、泣き過ぎて過呼吸になって、でも誰にも言えなくて、すごく苦しかった。

その後もずっと胸が締め付けられるような感覚で、意識しないとちゃんと呼吸ができないようなそんな状態だった。

 

そして確かその時期はテスト期間中で、そんな状態でもテストは受けなくちゃいけなかった。遅刻して登校したのか、その辺の記憶は曖昧だけど、みんなと同じ教室でテストを受けるのはキツかったから、別教室で受けさせてもらった。わたしと似たような不登校気味の男の子も1人、同じ教室でテストを受けていた。

 

テストが始まって、できるだけ無心で解いた。が、解き終わった瞬間、頭の片隅にあった嫌な記憶が脳内を支配して、グルグル回り始めて、またどんどん呼吸の仕方を忘れて、わたしは思いっきり過呼吸を起こして泣いていた。

ただそれに気づいているのは同じ教室でテストを受けている不登校気味の男の子だけで、わたしはその男の子の目も気にせず泣いた。というより、呼吸ができないことが苦しくて泣いていた。鼻水もボタボタこぼれて最悪な状態だった。ただ他人の目を気にする余裕すらなくて、呼吸することで精一杯だった。

 

すると、ふとティッシュが目に入った。その男の子が教室の隅にあった箱ティッシュを何か声をかけるわけでもなく、わたしの机にそっと置いてくれていた。わたしは少しずつ少しずつ呼吸を取り戻して涙を拭いた。気づいたらチャイムがなって、先生がテストを回収する頃には、涙は収まり机にたくさんのティッシュがあるだけだった。男の子にありがとうを伝えようとしたが、男の子は教室をいち早く出て行ってしまっていた。

 

その男の子とは、テスト以降、顔を合わせることはなかった。

いま思うと、あんなに取り乱して人前で泣いたのは最初で最後だった。男の子からしたらテスト中に泣き出すの訳わかんないだろうし、わたしはめちゃくちゃな醜態を晒したし、すんごい恥ずかったなと思う。でもそのときに先生とかを呼ばずに、ティッシュを差し出してくれただけで、本当によかった。

 

あのときの男の子の優しさとか、今になってすごく胸に沁みる。不器用なりのさりげない優しさ、ああいう優しさを持ち合わせた人間にわたしもなりたい。

 

あとそして、過呼吸は苦しいからもうできるだけなりたくない。

 

 

 

 

 

 

8月26日

 

22歳の夏休み。

地元に帰省したタイミングでコロナウイルスに罹ってしまって10日間実家で隔離生活だった。

家族以外の誰とも会わず、緑に囲まれた実家で10日間もだらだらと過ごす。あまりにも流れる時間がゆっくりだから、わたしの呼吸も自然と深いものになっていった。

 

隔離期間の後半は体力も回復して暇だったので、カメラを持って音楽を聴きながら近所を散歩した。高校生になった頃くらいから、だらだら歩くなんてことしなくなった(自転車や車で移動することがほとんど)から、色んな発見があって新鮮だった。

「ここにこんな家できたんだ。」とか「このアパートってこんなにボロかったっけ?」とか、「カエルめちゃくちゃいるなぁ、気持ち悪いなぁ。」とか。10年で町も自分もなにもかもだいぶ変わっちゃったなあって寂しくなった。

 

なんとなく小学校への通学路を歩いてみたくなって、小さな小さな橋を渡った。そしたら、週5で幼なじみと歩いていた道、あのときのまま変わらない景色がそこにあった。

全部変わってしまったと思っていたのに、そこにまだわたしの知ってる景色が残っていたこと。それがこんなに胸いっぱいになるなんて思ってもいなかった。

川沿いに目を向けるとたくさんのトンボが飛んでいた。そのトンボの羽根に西陽が反射してキラキラ光っていた。まるで妖精みたいだった。

ふいにノスタルジーに殴られたわたしはもうダメだった。涙が溢れてしまった。イヤフォンからはYEN TOWN BANDの曲が流れていた。

 

安堵した。未だになにが幸せかはわからない、というより幸せが少しずつ遠くなっていくようなそんな毎日だけど、忘れたくない景色がわたしにもあること。それに気づけたこと。過去を振り返ってばかりのわたしだけど、それでよかったと今は思える。

 

そんな気持ちを抱いて大人しく帰路につくと飼い犬が尻尾を振って出迎えてくれた。

 

 

 

無頓着な善意と花

 

 

「多様性ってなんですか?」
「それはみんなが持ってる自分だけの花です」
「花、嫌いです」

 

 

わたしは18歳のときに付き合ってた一回り年上の彼氏から、花をプレゼントされたことがある。だけど、そのときは本当に花の良さがわからなくて、すぐ捨てた。そもそもわたしの家には花瓶がなかった。その後、結局その彼とは別れたんだけれど、別れるときに「花をプレゼントしたときに捨てられたのがショックだった。」と言われた。いやいや、そんなの押しつけじゃない?って思った。" 花は大切にするもの "みたいな固定観念がきっと彼にはあったんだろうし、無条件で喜んでくれると思っていたのだろう。でもこっちはそんなの頼んでないし、そもそも花なんて手間なもの要らない。百歩譲って造花ならまあいいかなって感じ。わたしがあなたの無頓着な善意を拒否したからって、文句を言わないでと思った。どんなに綺麗な花があっても、部屋に花瓶がないように、彼の好意を受け入れる器があの頃のわたしには無かった。年数を重ねた今は、ちょっとだけ悪かったなと思う。そして、たまに自分で買ったりするくらいには、花が好きだ。好きになりました、あんなに興味無かったのに。花を好きになってから、花が嫌いな人のことが理解し難くなった。あのときの彼みたいに。無意識のうちに、確かめようのない自分の中のマジョリティーを正義だと決めつけて、そうじゃない側の人間を非難する。そういう傲慢さが見え隠れする瞬間、必死で自分を戒める。そういうことをしなきゃいけなくなったなって思う、今はきっと前よりも。

 

 

 

今日の天気は曇りだったけれど

 

 

Twitterの好きな女の子が自殺を仄めかしていなくなった

同じお店で働いていた女の子がAV女優になっていた

地元の友達が薬物所持で逮捕された

 

わたしはそういう日々のなかで、できるだけ平凡に穏やかに健やかに生きていけたらいいと思うんです

 

噛み締める必要のない安定した暮らしが幸せだと気づけたから 美味しいご飯を食べて暖かい布団で眠る そういう日々を大切にしたい

 

 

 

躁に踊らされる揺れる

 

1時間睡眠で8時間労働した後に好きなバンドのライブに行った チカチカ光る照明とテレキャスターの轟音が耳をつん裂く 睡眠不足のわたしには鼓膜を突き破って脳に直接響いてギンギンガンガン 途中、意識が飛びそうになった 良し悪しはひとまず置いといて、余韻で今は周りの音が聞こえにくい

電車に揺られつつ「眠いな」と思いながら、最近のことを少し綴る

 

学校は今まで通りギリギリで課題も出せてないのがいくつもあるし、あと1回欠席したら単位が取れなくて留年決定してしまう科目もある 落単リーチがかかっているのだ だけど気持ちにゆとりがある なんでかはわからん やるべきことを全くやっていないのに心は晴々としている だから少し怖い いや、少しどころかかなり怖い 現実問題全然ヤバいのに余裕そうな自分がいるんです どういうことかわかりますか?わかりません だから怖いんです

11月から毎週通院している心療内科を1ヶ月半ほど前に予約をブッチしてから行っていない そもそも「継続的に通院して、ちゃんと服薬して、症状を安定させましょう」って先生の話だったのに、たぶん3ヶ月くらいまともに薬を飲んでない 一気に飲んだり飲まなかったり 全然先生の言うこと聞けてないね ごめんなさい

そのせいかどうかはわからないけど、最近健忘することがある こんなこと今まで無かったし、そのせいで彼氏と険悪な雰囲気になって、同棲しているのに1週間も口を聞かなかった めちゃくちゃ居心地悪かったあの1週間を返してほしい

そんなこんなで、つまり今のわたしは双極性障害躁状態に踊らされているのかもしれない まだそこまで顕著な症状は出てないけど、頭の片隅で理解している 今のわたしは少しおかしい おかしいけれど気持ちは悪くない マリオでいうスター状態まではいかない(スター状態のときはガチでヤバい、サボり魔のくせにバイト30連勤とかする、これガチの体験談)ファイアマリオ状態 つまり情緒が昂って上のほうでぐちゃぐちゃになる その一歩手前 クリボーかノコノコかなんでもいいけど、やられちゃって、どんどん小さくなってチビマリオになって最後はゲームオーバー いつか全部おしまい

でも病気のせいでもなんでもいい 今は前向きでいられてるんだから いい歳して階段ですっ転んで足が擦り傷まみれになっても、わたしらしいと受け入れられる 恥ずかしいけど

 

最寄駅についた とりあえず今は早く家に帰って寝たい

 

 

わたしが決める用法・用量

 

 

最悪だ、またODをしてしまった。

死ぬほど苦しい思いをして「もう絶対にODなんかしない」って決めていたのに、嫌なことがあって、8ヶ月ぶりに少しだけと思ってODしたら気持ちよくて堪らなかった。

それでも、ODして病院に運ばれて、たくさんの人に迷惑かけて、絶対にしないと決めたことをしてしまったことに対して、後悔と罪悪感はある。やっぱりわたしって真面目なんだよね、変に。

 

今日ふと、病院に運ばれたときのことを思い出した。たくさん市販薬を飲んで、カフェイン中毒でぶっ倒れて、病院に運ばれて、身体が勝手に暴れるからベッドにベルトで固定されて、意識もかなり錯乱していた。ゲロ吐いて叫んで看護師さんに大人しくしてって言われても我慢できなくて(というか意識でどうこうなる状態じゃなかった)、本当にかなり迷惑な患者(自殺未遂で運ばれた人間を患者なんていうのも烏滸がましい)だったな。そのときわたしは、「迷惑かけてごめんなさい」「こんなに苦しいなら薬飲まなきゃよかった」「死ぬの怖い」「死ななくてよかった」「でも死にたい」「死ねなくてごめんなさい」ずっと嗚咽混じりで叫んでた。岸川さんというおじさんの看護師さんがすごく優しくて、温かい言葉をかけてくれたこと。混濁した意識のなかで岸川さんのネームプレートをただずっと眺めてた。発狂して落ち着いて、また発狂してを繰り返していて、気づいたら岸川さんがいつのまにかわたしのところに来なくなっていて、別の看護師さんに「岸川さんは?岸川さんがいいー!岸川さーん!」って聞いたら、その別の看護師さんがナースステーションみたいなところに行って、「岸川さんいます?〇〇さんが岸川さんじゃないとやだって言ってて(笑)あ、いま休憩中ですか。了解です。」って遠くから聞こえて、「そっか、岸川さんも仕事だから休まなくちゃいけないのか。」って納得して、大人しくした(それでも20分おきくらいに岸川さんの名前をずっと呼んでいたが)。他にも佐藤さんというわたしと同じ誕生日の女性の看護師さんに、「ひとりにしないで。誰もどこにもいかないで。」って言ったら、「大丈夫、わたしはここにいるよ。」って優しくずっと手を握ってくれた。夜になると別の看護師さんに交代してしまって、そのときはすごく寂しかった。翌朝になると佐藤さんがまた来てくれたんだけど、一晩経って自分の意識が少し元に戻ったからか、あんなに甘えていたことが恥ずかしくなって、同じ誕生日だねって声かけてくれたことを覚えているんだけど、それが現実だったのかどうかあやふやで、もう一度「わたしと同じ誕生日なんですか?」って聞けばよかったけど、それすら聞くのもなんだか躊躇ってしまった。

ODをして病院に運ばれて、こんなわたしみたいな人間に、みんな仕事だからそうしているんだろうけど、優しくしてくれて嬉しかった。今もこの文章を書きながら、そのとき優しくしてくれた人のことを思い出して涙が出た。

 

わたしはアルコールが本当にダメで、飲んでも気分悪くなっておしまい。お酒を飲んだら嫌なことを忘れられる人とか、楽しくなって騒げる人とか、めちゃくちゃ羨ましい。きっとお酒が飲めたらアル中になっていたと思う。思いっ切り落ちたとき、シラフで日を跨ぐことなんて出来ない。自己嫌悪に駆られる夜、お酒が飲めないわたしは、現実逃避する術がなかったからODをした。

自分の機嫌は自分で取らなければならない。ODは、病院に運ばれたり、車を運転したり、粗相をしない限りは誰にも迷惑をかけない。別に合法だし。

だからどうか今だけは、このフワフワした気持ちでいることを、わたしだけの秘密にするから許してほしい。一体、誰に許しを請うているのかわからんが。

わたしが薬を流し込んでいるとき、部屋に彼氏が来て目が合ってしまった。何も言わずに立ち去ったけど、そのときに一瞬した彼の呆れた顔が忘れられない。

こうやって少しずつ色んな人からの信頼を失くしていく。でも、もうどうでもいい。今は副作用で肌がかゆい。