フィクションです

病気が治ったら

 

病気が治ったらどこに行こうか

病気が治ったらどこに行こうか

家のベランダから見える桜がもうすぐ咲くよ

 

病気が治ったらどこに行こうか

病気が治ったらどこに行こうか

暑いのは苦手だから夜に海とか行ってみようか

 

病気が治ったらどこに行こうか

病気が治ったらどこに行こうか

あの頃みたいに笑っておくれよ

嘘、やっぱり笑わなくたっていいんだよ

 

病気が治ったらどこに行こうか

病気が治ったらどこに行こうか

願うことしかもうできないや

病気が治ったら 病気が治ったら

 

僕はちょっぴり頭がヘンで世界に嫌われている

だけど笑ってくれる君がいたから少しだけ楽しかった

病気が治ったら 病気が治ったら

 

ねぇ

願うことしかもうできないんだ

 

 

 

クソ溜めインターネット、でも

 

現実があまりにもクソ過ぎるため、まだマシであるクソインターネットへ現実逃避していた17歳

 

周りがキラキラとしたJKライフ(笑)を過ごしている中、わたしは容姿コンプに苛まれて、ずっとずっと暗い部屋に引きこもっていた たまに援助交際をしに家を抜け出して、抱くために添えられた空っぽな甘い言葉と今となっては何の価値もないお小遣いをおじさんたちから与えられていた あのとき、スマホの液晶画面だけがわたしを唯一照らしてくれる光だった

 

SNSではとにかく「死にたい」と、毎日毎日書き込んでいた

そんなクソ溜めばかりが集まるSNSにいる人たちは、わたしと同じようにみんな寂しそうだった

 

その時に繋がったネカマの引きこもり、彼は女の子のフリをしてずっと投稿していた

繋がった当初はわたしも女の子だと思っていたが、共通の繋がりがある子から「あいつネカマだよ」「通話するときとかボイチェン使ってるし」と教えられて、へ〜そうなんだと思っていた

 

そんなネカマの彼とは特別仲が良いわけでもなく、お互いそっと見守り合っているようなそんな関係性だった

でもコロコロとお互いアカウントを変えるため、疎遠になり、疎遠になっても別に思い出すことはなく、記憶の片隅にもいないくらいの存在だった

 

 

そしてそこから10年近くが経ち、あんなに「死にたい」と言っていたわたしはなんだかんだで生きている

整形をしてあの頃よりはマシな容姿を手に入れて、自分で稼いだお金で学校を卒業し、就きたい仕事に就いて、猫と平和に暮らしている

希死念慮に苛まれる夜もまだ全然あるけど、本当にマシになった

 

 

そしてSNSがバズった

 

すると見覚えのあるアイコンの人から「淫蕩ちゃん?」とDMが来た

"淫蕩ちゃん"は昔「死にたい」と大量に書き込んでいた頃のハンドルネームで、DMをくれた彼はその頃繋がっていたあのネカマだった

 

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わたしはとにかくビックリして、彼の近況を聞いた

ネカマの引きこもりを辞めて、今は上京して好きな仕事に就いて働いているらしい

 

「引きこもりを辞めて行動したら、色んな縁に恵まれて今はこういう仕事してるよ〜」と仕事の話を詳しくしてくれて、まるで自分のことのように嬉しくなってしまった

わたしは馬鹿みたいにずっと「すごい!」「本当にすごい!」と連呼していた

 

何が偉いとかは勿論ないけれど、自ら選んで行動して生活を掴み取っていくということの尊さを改めて実感して、自分もこの苦悩した時間は無駄じゃなかったのかなと思えて少しだけ泣きそうになった

 

とにかく彼が健やかに過ごせるように、それをただ今は祈っている

わたしもこの死にたさを抱きしめながら、わたしの生活を送っていきたいと思った

 

クソ溜めの中でも光り輝くものはちゃんと、あるね、液晶画面の向こう側にあったね

 

 

 

 

つぶちゅー

 

早く誰か恋愛でわたしをめちゃくちゃにしてくれ

 

まさかアラサーになってまで、こんなことを思っているとは思っていなかった。

過去にしてきた破滅的な恋愛や、とっくのとうにバグってしまった貞操観念のせいで、人を好きになるきっかけを見つけることが難しくなっている。

というか、きっかけって探すものじゃなくて本能的にビビビッてくるものだ!と中学生のような価値観でいるから、わたしはきっとダメなんだろうなぁ、次に進めないんだろうなぁと思う。

可愛げがない。女としてはそれなりかもしれないけど、女の子としては完全に終わってしまったなという感覚が強くある。女の子でいたかったにーブイブイ

 

なんかツイッターで過去の恋愛の話やセックスの話をしていたら、冷笑されまくって終わっているのですが、もうあの頃のインターネットは無くなったのですか?リアルでは言えないから、インターネットで「おちんぽくださいな」と言っているだけなのですが?(実際にはそんなこと言っていない)

 

まぁそれはどうでもいいとして、好きな人にちゃんと好きだという理由でもう何年以上も抱かれていない。普通にありえん。こんなにいい女なのに。ということで、そういう拗らせ方をしているから、わたしとわたしを叩いている童貞くんたちはほぼ同じです。だから挿入なしで抱き合いましょう。寂しいんですよね?わたしは寂しいですよ。共に素直になりましょう。

ラブアンドピース、ハグアンドキース✌️あ、やっぱ粘膜接触はナシで。

 

怖いですか?わたしも怖いです。この寂しさにいつ飲まれてしまうのか。

だから、ただ一人でちびちび酒を飲んでいます。

 

ところでわたしは一体誰に何を問いかけているんですか?とりあえず今日も寂しいです。こんな駄文を読んでいるあなたも、ですよね?

 

 

 

 

ボロボロのショートケーキ

 

26歳になり、得るものよりも失うものの方が増えていった

会いたいなと思う人はいるけれど、会えずにもう何年も経っている 相手がどう思っているのか、頭の片隅にわたしという存在がいるかどうかもわからない その人との思い出も全部夢だったのかのようにも思える

こうして少しずつ少しずつ何かを失っていく

 

気づけば誕生日当日におめでとうのメッセージをくれる人は、片手で数えるくらいの人数に減っていた 「数じゃない、質だ」と頭で理解していても、ジワリとした寂しさが湧き出てしょうがない

学生時代、部活の同級生や先輩たちにパーティーのように祝われたあの日があるせいで、残業で帰りが遅くなり、ケーキ屋さんでケーキが買えなくて1人でトボトボと帰るこの日が惨めに思えてしまうだけだ

コンビニのショートケーキも美味しい けど だけどこんな日くらいはさと思ってしまう

 

 

日付が変わって1番最初にメッセージをくれたのは母だった

側から見たらきっと"良いお母さん"なのだろう でもそれが苦しい どうせならもっと憎めるくらいに、縁を切れるくらいに最低な母親であって欲しかった

例えば小さい頃、わたしの話をたくさん聞いて欲しかった たまにでいいから抱きしめて欲しかった ちゃんと母親でいて欲しかった 裏切らないで欲しかった

「今さら優しくしないで」なんて思いたくなかった

 

あの頃の寂しさがずっと拭えぬまま、気づけばもうこんな歳になってしまった

 

今さら誰にも甘えることができずに、死にたいという気持ちをただひたすらインターネットに吐き出すだけの日々だ

1人でいる時間も、泣きながらご飯を食べることも慣れてしまった

嘘はつきたくない だから「産んでくれてありがとう」なんて絶対言わない でもわざわざ言わなくていいこともある それがわかるくらいには大人になった

 

甘え方がわからないまま、また歳を重ねた

ボロボロと崩れたショートケーキはずっと、ずっと甘ったるいままだ

 

 

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音楽

 

「救うとか救われるとか馬鹿馬鹿しいと思うんだよね、だってただの娯楽だし」

 

そう言ってあなたは音楽を腐した

そんな最低なあなたを愛していた

 

あなたは最低だったけど、わたしがずっと欲しかった言葉を唯一くれた人だった

 

風俗嬢でも、躁鬱でも、どんなに暗い過去があって死にたいと思ってても「それでもいいよ」って、「それでもいいと思えるくらい好きなんだよ」って、わたしという存在を認めてくれた

 

あなたは充分過ぎるくらいの幸せを与えてくれた

ずっと変わらずに一緒にいたかった

あなたと笑い合えてたら、音楽も映画もどんな娯楽もわたしには必要なかった

ボロボロになった日はあなたの腕の中でたくさん泣いた

そんなわたしを見て困った顔をするあなたが本当に、本当に好きだった

 

でも気づけば全部ぐちゃぐちゃになってダメになった

 

あなたがいないと生きていけないと思っていたけれど、そんなことは無くて結局上手くやれている

それが寂しくて悲しい

あなたの顔も声もおぼろげになってゆく

幸せだった日々が遠く、遠く夢のように感じる

 

タバコを持つ右手が震える

温くて不味い酒を喉に流し込む

イヤホンでは爆音で音楽が流れている

涙が頬を伝う

 

救うとか救われるとかあなたにとっては馬鹿馬鹿しいかもしれないけどさ、わたしはあなたがいないこの日々のなかで唯一縋るしかないんだよ

この音楽に

 

 

やり尽くして、そして

 

今日久しぶりに会った友人に「今、何かやりたいことある?」と聞かれ、ほとんど他人には話していないわたしの夢を語った

「そっちからしてみるとわたしにそんなイメージ全然無いと思うしさ、現実味無いんだけど、今1番やりたいことってさ…」

「なんか恥ずかしいな」と一通り話し終えた後、アイスティーをストローでちびちび吸った

友人は「いいじゃん!叶えられるよ!てか全然現実的だし!」と言ってくれた

それが嬉しくて恥ずかしくて、目を合わせずに「ええ、そうかな…ありがとう」と言って、またアイスティーをストローでちびちび吸った

 

「そっちも今やりたいことあるの?」と友人に聞いたら、「実はね…」と嬉しそうにマイホーム建築計画を語ってくれた

彼女はわたしの友人たちの中でも、人一倍努力家で静かな闘志を燃やしながら、着実に夢を叶えていく人だった

一度夢破れて大きな挫折もしたけれど、彼女は彼女なりに折り合いをつけて、今は新たなステージで幸せそうに過ごしている

大学時代から長年付き合っていた彼と去年入籍し、式を挙げ、気づいたらマイホームまで建てようとしていて、計画的にライフプランを考え、堅実に幸せを手にしていってる

 

無計画で行き当たりばったりで、やりたいことがコロコロ変わるわたしとは大違いで、いつもいつも会うたびに感心する

そんな堅実的で先のことを見据えて行動している彼女に一度この夢を語ってしまったからには、叶えなきゃいけないという良い意味でのプレッシャーになり、身が引き締まった

 

今は忙しさを言い訳に何も手をつけられないでいる

ダサくてみっともなくてしょうもない 口だけにしたくない

夢が叶えられなかったとしても、やるだけやりきりたい でもやるならどうせなら夢も叶えたい わたしは欲張りなのです

 

小さいことでも大きいことでも、どうせ生きていくしかないのならやりたいことを全部、全部やり尽くして「ああ、もうやることなくなっちゃった 楽しかったなぁ〜」と言って死にたい

 

やり尽くしたその先の景色をまだわたしは見れていない

 

 

別れ際友人に「マイホーム楽しみにしているね」と言ったら「絶対遊びにきてね!夢応援してる!」と言った そして加えて「お互い楽しもうね!」と言ってくれた

そうだね 楽しもうね

わたしは「友人の夢のマイホームにお邪魔する」というやりたいことがまた一つ増えた そのやりたいことを達成したとき彼女にいい報告をできたらいいなと思った

 

がんばる、がんばろうね

 

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酔っ払ってなくてもさ

 

もう別れてしまった彼とは5歳差で、わたしが19歳で彼が24歳のとき恋愛関係に発展した

 

わたしと恋愛関係に発展する前、彼には4年付き合っていた彼女がいた その彼女と毎日飲み歩いていた彼は、未成年のわたしに「きりんちゃんの唯一の欠点は一緒にお酒を飲めないことだなぁ」と言っていた

元カノと比べられた気がして悲しかった

 

そこからわたしたちの関係は徐々に発展して、彼からの告白で恋人同士になった

その頃わたしはもう20歳になっていたけれど、体質的にアルコールアレルギーだったらしく成人しても彼と一緒にお酒を飲むことはほとんど無かった

 

そうして付き合って1〜2ヶ月経った頃に彼が「出会う前は毎日色んな人と酒ばっかり飲んでてさ、素面で人と会うことなんてつまんないからほとんど無かったけど、きりんちゃんとは素面でも楽しくて、ずっと一緒にいたいと思うよ」とわたしに言った

 

わたしはその頃、お酒のあるコミュニケーションが全く無くて24時間素面だったから、その気持ちが全然理解できなかった

でも、前は「一緒にお酒が飲めなくて残念」と言っていたのに「飲めなくても楽しいよ」と言ってくれたことがすごく嬉しかった 彼に近づけた気がした

 

 

そして今、彼と別れてわたしは25歳になった 出会った頃の彼と同じ年齢になった

社会人になって、お酒の場が増えていって、あんなに不味いと思っていたアルコールも、いまは気持ち良いと思えるようになった

 

この歳になると、ほとんどが飲みニケーションばかりで、初めましてがお酒の場だと、それ以降お酒が無いとしんどいと思うようになった

お酒が抜けたとき、素面に戻ってつまらないと思ったり、この楽しい時間はアルコールのおかげだったんだって気づかないように、またアルコールを飲み重ねる そんな日々を繰り返していたら、彼のことを思い出した

 

「素面でも楽しいよ」って今思えば、すごい愛情表現だなってフワフワと酔っ払いながら思った

でもそんな不器用な愛情表現をしてくれていた彼とも別れて、疎遠になった

彼にはもう新しい恋人がいるらしい

 

 

わたしはコンビニで買った緑ハイを1人飲んでいる

酒が無いと眠れなくなっている 今は少しだけ彼の腕が恋しい お酒がなくても彼に抱きしめられるだけでぐっすり眠れていたあの頃を思い出してしまうよ

 

だめだね、だめだよ

酔い潰れて寝るしかないね じゃあね

 

 

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