フィクションです

去る春、

 

春が嫌い

 

別に花粉症ではないけれど、春が昔から嫌いだった

出会いと別れの季節なんてわたしにとっては最悪で、みんなみんなみんな勝手に前に進んで、進級、卒業、入学、就職、春特有の熟語の羅列にくらくらくらくら目眩がしてた

 

だけどそんな10代の拗らせを抱えながら、気付けばもう24歳で、なにも変わってないと思っていたけど、環境は少しずつ変わっていて、そうです

あんな熟語の羅列を嫌っていたわたしも卒業しました、できました 中学生ぶりの卒業というイベントに、泣きはしないけど少しだけ心に来るものはありました

卒業証書を手にしたとき、ただいたずらに歳を重ねるのではなく、確かにわたしは少しずつ前に進めているから大丈夫だよと、環境に初めて認められた気がした

 

こんなわたしにも優しくしてくれた同じ学校の子達のこと、一緒に修羅を乗り越えた仲間だと一方的に思っているから、もう二度と会うことない子達もいるんだよなぁと考えるとやっぱりそれなりに寂しくて

すこしだけ鼻と目がムズムズする ああ、やっぱり春なんて嫌いだ

 


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君が言う「また会おうね」を信じたいと思える春 バラす花束