フィクションです

記憶

 

ママチャリで池袋北口のホテル街を駆け抜ける

よく知らない男が自転車を漕ぐ

わたしは荷台に乗って運ばれる

ラブホテルからラブホテル、春を売り始めてまだ一年目

ソープランドのボーイが餌付けして、居着いた野良猫が「ニャア」と鳴いている

風が吹くと気持ちがよくてずっとこのまま

ずっとこのままをほんの少し願っていた

 

 

遠い昔の懐かしい記憶、なんだかふと思い出すのはそういうことばかり

寂しいのはいつだってどこだって誰だって変わらないんだよ、ね